元気企業
2014年08月
水海道産業株式会社
循環・環境型社会の形成を目指し、適切な廃棄物処理とリサイクルに取り組む
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代表取締役 古矢 昇 創業 昭和16年4月 事業所 本社:茨城県常総市中妻町907-1
事業所:石下工場(常総市)、みらい平支店(つくばみらい市)、千葉営業所(千葉県市原市)、分析センター(東京都江戸川区)事業内容 一般・産業廃棄物処理、廃ガラスリサイクル、 環境に関するコンサルティング 電話番号 0297-22-0077 URL http://www.mitsukaido.net/
水海道産業株式会社は常総市に本社とリサイクル工場、つくばみらい市、千葉県市原市、および東京都江戸川区に3つの事業所を構え、廃棄物処理や廃ガラスリサイクル、環境に関するコンサルティング事業を行っています。
平成26年6月26日、常総市の石下工場を訪問し、古矢昇代表取締役にお話を伺いました。
事業の沿革
常総市内にある石下工場
昭和16年に古矢社長の祖父が古矢砂利店を開業、鬼怒川の砂・砂利の採取販売業を始められたのが当社の始まりです。その後、河川の砂利採取制限、廃棄物やリサイクルに関する法整備といった時代の移り変わりとともに、主力事業を廃棄物処理やリサイクル事業に移行していきました。
古矢社長は大学で土木工学を専攻し、卒業後は8年間官公庁で公共工事の管理監督業務などを経験しました。その後30歳の時に当社に入社し、平成21年に3代目として代表取締役に就任し現在に至ります。
廃ガラスリサイクル製品「クリスタルストーン」
当社では、「地域社会との連携を図りながら循環・環境型社会に貢献すること」を経営方針の根本に掲げています。
その方針に基づき、廃棄物処理業界の中でも当社が独自に取り組んでいることとして、自社工場での廃ガラスリサイクル事業があります。
通常、ガラスビンの中で溶かして再度ビンにリサイクルできるものは白・茶のみです。
青や緑等の色付きビンには着色料として金属が混ぜられていることからリサイクルが困難なため、大半が埋立処理されていました。しかし、大量のビンで処分場がすぐに一杯になってしまうことや、資源の使い捨てを招く処理方法に、全国の自治体は頭を悩ませてきました。
このような社会的問題を解決したのが、当社の廃ガラスリサイクル商品「クリスタルストーン」です。これはガラスを砕いてカレット(砂・砂利状)にしたもので、特殊技術により怪我をしないよう安全な加工がなされています。その用途は、歩道等のカラー舗装資材やアスファルト材料、コンクリート・セメント材料、壁材、建築基礎材、エクステリア材料など多岐に渡ります。
また、最近では環境保護の観点から国内での砂・砂利の採取が難しくなっており、砂・砂利の代替品として使用可能な当社の製品は、各業界から高く評価されています。
これらの用途は、古矢社長が顧客への営業を重ねる中で開発してきたものです。「せっかく廃ガラスを再商品化しても、それを使う側にメリットがなければ採用してもらえません。提案型の営業を通じ、商品の用途の多様化を図っています。」
と古矢社長はおっしゃいます。
触れても怪我をしないよう安全に処理された「クリスタルストーン」
ガラスが混ぜ込まれた床タイル
社会的使命と収益性の両立
「廃ガラスリサイクルや廃棄物処理は、決して多くの利益を得られる事業ではありません。」と古矢社長はおっしゃいます。それでも同事業を継続してきたのは、当社の目指す循環・環境型社会の構築と社会的使命からでした。
当社では次のような工夫により、社会的使命の実現と収益性の確保を両立しています。
一つは利益率を向上させることです。例えばブラウン管テレビの廃ガラスは、一部に鉛が貼られているためそのままではリサイクルが困難ですが、このうち鉛のない部分だけを建物の断熱材に使われるガラスウール業者に販売、それ以外はカレットにして放射性廃棄物保管容器用のコンクリート材料にします。東日本大震災や原発事故発生以降どちらも需要が増え、高い利益率が見込めます。このような用途の開発には、産業技術総合研究所などの研究機関と連携しながら取り組んでいます。
もう一つは、新規取引先を増やすことです。当社では廃棄物削減に向けた提案型営業を行うことで新規取引先を開拓しており、これは企業側にもコスト削減のメリットをもたらします。「廃棄物処理に費用をかけたくないのは理解できますが、廃棄物処理費用の安さだけを重視すると悪質業者と気付かずに廃棄物を預けてしまい、不法投棄等の問題が起きる可能性もあります。取引先に廃棄物排出量自体の削減を提案することで、取引先のメリットと健全な廃棄物処理、環境保護や収益性の確保を両立しているのです。」
と古矢社長はおっしゃいます。
搬入された
ガラスビンなど混ざっている金属等を
人の手で取り除く数回に分けて
機械で粉砕粉砕されたガラスは
大きさ別に排出
ガラスカレットの生産過程
おわりに
古矢社長は、会社を支えてくれる従業員を非常に大切にしていらっしゃいます。廃棄物の仕分け作業は重労働ですが、当社では正社員としての安定した雇用や福利厚生制度を提供し、従業員が安心して働ける環境を整えることで、地域社会に貢献しています。
適正なリサイクルや廃棄物処理は、環境保護にとって欠かせない事業です。その一方、一部の悪質業者のためにマイナスイメージを持つ方もいる現状を古矢社長は憂慮されており、経営上最も重視することの一つとして、「コンプライアンスの遵守」を挙げていらっしゃいます。
一企業としてクリーンな経営を行うだけでなく、業界の規範として業界全体の底上げを図ろうとする古矢社長の姿勢からは、廃棄物処理業に対する誇りと責任感を感じました。その高い規範意識が、地域社会の信頼を生み、会社の発展につながっているのだと思います。
今後のますますの発展をお祈り申し上げます。
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