元気企業
2015年09月
地水開発株式会社
“地盤”の調査・測量・設計・管理の専門家として、道路建設から被災地復興まであらゆる工事の土台を支える
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代表取締役 海老根 鐵男 創業 昭和54年 事業所 東京都足立区綾瀬6-26-11(本社)
那珂市菅谷4527(北関東事務所)事業内容 地質調査、土質試験、測量、土木設計、地盤改良工事 電話番号 029-352-0211(北関東事務所) URL http://chisui-kaihatsu.co.jp
地水開発株式会社は、建設工事にあたって必要な地質調査・土質試験・測量・設計・地盤改良工事等を手掛ける企業です。
東京本社、横浜事務所、那珂市の北関東事務所を中心に、関東、東北や東海地方の主要都市、小笠原諸島、伊豆諸島などの島しょに事務所を構えています。
平成27年8月18日、那珂市の北関東事務所を訪問し、海老根鐵男代表取締役にお話を伺いました。
当社のあゆみ
あらゆる建設工事にあたってまず必要なのは、基礎資料となる測量や地盤の調査です。当社では、測量や地盤調査・土質試験、環境調査をはじめ、盛土工事に伴う土の密度試験や各種の原位置試験などの施工管理、また地盤改良・さく井などの関連工事等、土に関わるさまざまな業務を請け負っています。
海老根社長は大学卒業後の昭和47年、実父が東京で経営していた会社に入社し、地盤改良に携わりました。当社はそこからの独立という形で、昭和54年に海老根社長が創業したものです。形式としては、昭和23年に創業された父の会社の関連会社を名称変更して引き継いだものでした。
当社は東京に本社を置き、事業の拡大に伴い数度の事務所移転を行い、現在は東京都足立区に本社を構えています。
北関東事務所は平成2年にひたちなか市に開設、平成12年には社長の生まれ育った那珂市(旧那珂町)に移転し、現在は地盤調査、地盤改良などの拠点になっています。そのほか神奈川県横浜市(横浜事務所)、宮城県仙台市(東北事務所)、愛知県豊川市(東海事務所)等の主要都市や、小笠原諸島、伊豆大島等の東京都の離島にも事務所や出張所を開設して計11の拠点を構えており、各地で業務を行っています。
東京本社(東京都足立区)
北関東事務所(茨城県那珂市)
社員の皆様
“地盤”のスペシャリストとして
当社では、今までセールス的な営業活動は行ってこなかったと海老根社長はおっしゃいます。
しかし一方で、ダムや高速道路建設に関連する土質調査や東京都の離島や海上における地盤調査など、大規模で公共性の高い仕事を受注し、成し遂げてきました。特に高速道路関連の受注には昔から力を入れており、北関東自動車道など関東以北の高速道路の約5割、神奈川~名古屋までの新東名高速道路のうち約8割の工区の土質管理を当社で請け負いました。
アフリカ大陸縦断道路
アルジェリア
ハイウェイ工事
試験盛土新東名高速道路
盛土品質管理試験特許を取得した
『シーエスパイル工法』
による地盤改良状況RIによる
地盤の水分密度測定況
「海上そして急斜面での調査、掘削が難しい地層など、技術的に非常に困難な注文を受けたことも多々あります。そのような技術的な課題を克服し、取引先の要望をかなえるためにはどうしたらいいのか考えている時が、プレッシャーでもあり最も辛い時でした。しかし一度引き受けた仕事は、どんなに困難でも投げ出したことはありません。1件1件の仕事を丁寧かつ確実にこなし続けることこそが、我が社にとって最大の営業活動なのです。」
と海老根社長はおっしゃいます。
当社は従業員数こそ多くはないものの、工学博士や技術士、環境計量士、測量士などの専門資格を持つ精鋭が揃っています。そのような技術者たちと相談し、蓄積してきたノウハウを活用しながら課題を解決してきました。当社の倉庫には、創業からこれまでの35年間に亘る各現場の技術資料が約80万ページ、それに電子化したアーカイブ可能な電子データが工事別に約2万4千件ほどと、膨大な記録として保存されています。それは、当社が技術的な課題を克服し続けてきた歴史でもあり、会社の未来につながる大きな財産となっています。
大企業は一般的に、相応の実力があり信頼できる企業ではないと取引を行わないそうですが、そうした実績を積み上げ続けてきたことで、今では東京都をはじめ、多数の大手ゼネコンや官公庁などから指名を頂き、直接取引を行い、大規模な仕事を請け負えるまでになっています。
『安全第一』の追求
安全対策合同ミーティングの様子
「“技術”と一言で言っても、そこには掘削作業や現場管理の技術だけではなく、“安全”に関する技術も大きな要素として含まれています。急斜面や海上など危険が伴う作業現場もありますが、当社では創業以来大きな事故を起こしたことは一度もありません。」
そう胸を張る海老根社長が社員教育の中で何よりも重視しているのは、安全に関する教育です。消防署の職員を招いての救急救命措置や、車輌の取扱いについての研修など、年に1~2度は安全に関する研修を行っており、その際は必ず、すべての事業所から社員全員を集めるそうです。
「事故が起きてからでは遅いのです。当社では、各事業所の従業員との情報共有のため当社独自の連絡網により日々の動静を配信していますが、どんな小さな怪我や機械の破損でも、必ずその連絡網で共有しています。常日頃から注意喚起を行い、従業員の意識向上に努めているのです。」
と海老根社長はおっしゃいます。
このような、“安全”に対する高い意識は、大切な社員の命を守るだけでなく、取引先の大きな安心や信頼にもつながり、取引先から積極的に選ばれる理由の一つにもなっています。
離島における仕事と地域とのつながり
当社では、小笠原の父島・伊豆大島に設備を導入、常設の事務所を設置しています。また、母島や八丈島、青ヶ島、新島、三宅島等にも出張所を開設したり、各事業所を拠点に南鳥島や硫黄島などその他の島々での仕事も請け負ったりしています。こうした遠隔地、離島などでも円滑な業務が可能なのも当社の特徴となっています。
小笠原事務所
小笠原・父島
海上ボーリング硫黄島地質調査
南鳥島地質調査
小笠原事務所と各地の離島・海上における作業の様子
離島には地形の緩急が多く、急斜面などの危険な場所で作業を行うこともあり、地層や地質も本土とは全く異なります。また海上の現場は、外洋に面していて雨・風などの天候の変化や波浪の影響を受けやすく、それらの条件を的確に捉えて作業をしなければ、安全な作業はできません。こうした独特の要因から本州の調査業務よりも難易度が増し、当社の蓄積してきた技術やノウハウが必要とされるのです。
そのような技術的な側面のほかにも、現地への作業機械の搬入・人員派遣にかかるコスト、作業開始までにかかる時間といった点が離島における調査作業の大きな課題です。山積する多くの課題を克服するために、現地に事務所を構え宿舎や機械、車輛を配備し、受注に対し迅速に対応できる体制を採っている企業は当社以外にはありません。このような経営体制を敷くことで、現在では東京都の離島での調査の多くを当社が担うほどになっています。
「離島は災害が多く、一旦災害が発生すると復旧工事や防災工事などの調査は思うように捗りません。平成26年の伊豆大島土砂災害では、現地の被害は甚大で、復旧作業も本来5~10社で分担するような規模でした。一刻も早い復興が求められていたのですが、迅速かつ正確な対応を行うことができる業者は限られていたことから、東京都や文化庁・伊豆大島土砂災害調査などの地盤調査は当社がすべて協力することになり、東京都から感謝状も頂きました。」
と海老根社長はおっしゃいます。
また、離島など各地の事業所では現地の住民から採用を行っており、産業や雇用が限られている地域において大きな貢献をしています。
大島の土砂災害や東日本大震災では、発生してすぐ被災地への食料や燃料衣類などの差し入れ、幼稚園への多額の大型遊具やおもちゃの寄付などを行ったほか、災害時以外にも、特に車輌の出入の激しい北関東事務所周辺の公園や水路などを無償で整備・提供することにより、地域の方々との絆を深めてきました。こうした社会貢献活動一つ一つの積み重ねが、地域の方々からの信頼を得ることにつながっています。
伊豆大島の災害復旧調査現場と、感謝状贈呈式の様子
将来のために
海老根社長の目下の課題は、世代交代に関することだそうです。
「技術の継承のほかにも、安定した経営状態での引継ぎを目標としています。作業機械や事務所・宿舎などの設備や、その資金の返済なども含め、私が経営しているうちに何とか次の10年先20年先を戦える業務環境を整えられるように努めています。」
本社や北関東事務所、離島の事務所も含め、あらかじめ業務環境を整えておけば、自分の引退後も社員に負担を残さず引き継げ、他社に対する競争力を維持し、将来の経営上の心配を減らすことが出来るというお考えです。そうおっしゃる海老根社長には、これまで苦労をともにしてきた社員や家族に対する深い愛情が溢れていました。
おわりに
海老根社長にお話を伺って感じたことは、企業の社会的な“使命”です。
離島の調査では、作業の採算性の問題から、入札を行っても応札されないことが多々あるそうです。ただ一方で、社会的に必要とされる一定の需要があることは確かです。面積も工事に係る予算も限られる離島において、事務所や機械を設備し、人員を配置して雇用を維持することは、並々ならぬ企業努力が必要なのだと思います。その限られた経営環境の中で、企業として利益を上げつつ、求められる社会のニーズに応えていくことの尊さ、強い使命感を感じました。
そのように、技術を高め取引先のニーズに応えるだけでなく、作業障壁の高い離島での調査など社会が求めるニッチで公共性の高いニーズも応え続け、多くの社会貢献を行ってきた経営姿勢が、取引先や地域からの信頼を生み、会社の成長につながっているのだと思います。
短期的な利益を追求するのではなく、長期的な視点で会社の社会的な“使命”を果たしつつ利益を上げていくことは、社員のモチベーション向上や誇りにつながるだけでなく、それこそが老舗企業への近道なのだと今回の取材を通して気づかされました。
今後のますますの発展をお祈り申し上げます。
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